Royue

80キロ離れた独居の母の介護を中心に起こったこと、その後の施設入所後のことを書いています。

介護39:中島京子さんの「長いお別れ」を読んで・・長期在宅介護で、心に沁みましたね☆☆☆☆☆!

 

私のパソコンのキーボードの端に、長い間、なぜか「中島京子 長いお別れ」のポストイットが貼られていました。多分、何かの本で参照されていたか、気になる本だったのでしょう。先般書いた図書館では貸出中だったのですが、例によりブックオフに行くとあったので、早速買って読みました。

一気読みでしたね。元中学校の校長だったお父さんが、70才で同窓会に行くのに会場へ辿り着けず家に戻ってきたことがきっかけで、「もの忘れ外来」を受診したら、初期のアルツハイマー認知症だったことから、この物語が始まり、お母さんと娘3人と孫等が、その症状の進み具合に合わせて、その後の10年間の在宅介護の様子が克明に語られています。映画化もされて2019年5月に公開されています。

2019年と言えば、私の場合、3月に母が転倒で右肩を脱臼し、初めて市の包括支援センターに相談に行った時で、かつ、同時期に私自身が、不注意でアキレス腱断裂をして3カ月のリハビリをしていた時期です。この映画のことは記憶にはなく、多分まだ私の頭の中には「認知症」という言葉がなかったのでしょう。人の関心というのは、自分の身に迫ってくると、倍か数倍になるのでしょうね。この本を読んで、この映画も見たいと思いました。

私の母の在宅介護は、2019年から今年2023年4月3日の4年間だけで、このブログで書いたように、私はグループホームを6施設見学してその中から今の所を選び、入所させたのですが、在宅介護の辛さも多少はわかりますし、まして母はひとり住まいでしたので、在宅介護の限界としての年数が、この物語の10年と違って、4年での早い結論(施設入所)となったと思います。在宅介護では、認知症の進行具合にもよりますが、この物語のお母さんは、よく介護で10年間も耐えれましたね。私は、読んでいて辛くなりました。しかし、このお母さんと娘たちのお父さんへの優しさが、認知症の進行にも拘わらず、「何ら変わりがない」ように思いましたね。私は、女房と娘二人ですが、そろそろこのお父さんの認知症発症の年齢になりますので、どうしても、この点を比べてしまいますよね?!・・・。

なお、この本の初版は2015年ですので、「認知症」という言葉ができた2004年頃から、東日本大震災を経た10年間の介護の物語でしょうか。少し、今は状況が変わってきていますが、この家族が、在宅介護の限界を意識し、施設の見学をしていたことが書かれていました。それによると、「特養は1000人待ち」とか、「介護施設の利用料月15万円から百万を超えるものもある」、「最初の訪問先は、入居金5~6百万円、月々18万円」、「2番目は入居金2~5千万円、月額使用料25万円」、「3番目は、月40万円、入居金なし」という内容です。この物語の場所は、東京ですので、そのようなこともあるのでしょうね。上を見ればきりがないのですが、私の住むA市で見学したグループホームは、入居金は1か月の利用料程度(母の場合は15万円だけで償却方式)がほとんどでしたね。在宅介護の方が、この物語を読んでこの数字を見ると、ミスリードされてしまう場合があるでしょうね。

この本も良かったです。もっと早く気づいて読んでおくべきでした。

 

(補足)

認知症は英語では、「Dementia」と辞書では出ますが、認知症のよる長いお別れの時間の意味で、「The Long Goodbye」と言う由ですね。