Royue

80キロ離れた独居の母の介護を中心に起こったこと、その後の施設入所後のことを書いています。

介護63:映画「ぼけますから、よろしくお願いします」を見て・・・100歳超えのお父さんに感動!

 

2023年9月23日に、U-nextの31日間お試しで、映像作家・監督の信友直子さん(以下直子さん)の表題のドキュメンタリー映画を見ました。2018年の1作目と2022年の2作目も連続で見てしまいましたね。

1961年生まれの直子さんの1920年生まれのお父さんと、1929年生まれのお母さんの全くのリアルな日常が、一人娘の直子さんの目線で記録されています。直子さんのお母さんと私の母(1931年生まれ)の年齢が近いこともあり、興味深かったのです。

直子さんのお母さんが2014年の85才の時に認知症がわかり、それ以降の様子がそのままで撮影されています。ちなみに私の母は、2019年の88才ぐらいから、「あれっ・」となりましたね。まあ、ネタバレになりますので、あまり書くとどうなのかと思いますが、いくつか気がついたことや、気になったことがありましたので書いてみます。

まず、お父さんは2020年に100才で、腰はほぼ90度曲がっていますが、普通に歩けて、買い物もでき、頭がシャープで普通の会話ができます。私にとっては、100才で知的にしっかり喋っている人を見たのでは、テレビで聖路加病院の日野原医師以来かも知れません。このお父さんは、戦争で自分の好きだった小説家になれなかったので(会社で経理業務一筋の由)、ひとり娘の直子さんには、やりたいことをやれと言って自由にさせ、映像では、直子さんの東京大学文学部の入学式のシーンがありました。こんな娘に育てるってすごいことですよね。私自身は、父は反面教師以外の何者でもなかったのですが・・。また、私は私の二人の娘には、とにかく本を読むような人になってほしいと願ったのですが、少し違った?ようです。直子さんのお父さんは「本の虫」であり、家の中に常にカメラがある環境であったことから、直子さんが、文学や映像に興味をもったとも言われていました。

お母さんもいい人なのですが、そのお母さんを介護をする9才年上のお父さんには、本当に感動しました。まったく家事の経験のないお父さんが、お母さんが家事ができなくなると、自らやり、お母さんが入院すれば、片道1時間かけて90度曲がった腰でも歩いて、それも毎日、様子を見に行き、ベッドのお母さんの手を握り、励まし、「家に帰ろう」という姿にはもうびっくりしました。

一度、お父さんがお母さんをしかりつけるシーンがありました。お母さんは、(認知症で)お父さんや娘の直子さんの役にたっていないことや、いる必要のない(と感じる)自分自身を責め、「もう死にたい」と言うのですが、その時に、普段は温厚なお父さんの真剣なしかり方は、「あっ、この人は真剣だ」と思わせる迫力がありました。私も母から何度も「もう死んだ方がまし」とよく言われましたが、このお父さんのような迫力では、反論できなかったですね。

直子さんは、100歳超えのお父さんに、直子さんが東京から実家のある呉に帰り同居するか、施設を奨めますが、お父さんは、直子さんの仕事の継続を望みながらも、独居を継続して「家」にいたいと言います。どこの家庭でもある大きな問題で、私の母もそうでしたが、母は全く介護の経験がなくて、「施設」のイメージが、昔の療養病院とか鉄格子の暗いイメージしかなかったと思います。私の場合、母の施設への入所は説得というよりも、ほぼ強制!?に近かったですが、それが、今は施設(グループホーム)で穏やかそうに暮らしています。直子さんのお父さんはどうなのでしょうね。賢いひとですから施設のことも十分わかっているのでしょうね。

また、お父さんが、100歳超えでも認知症にならない秘訣は、何なのでしょうか。お母さんの心配をしていたからということもあるかもしれませんし、「本の虫」で100歳超えでも、英語の辞書に書き込みをしていましたが、そんなこともあるのでしょうね。完全な独居では、また環境も変わります。どうなのでしょうね。思わずお父さんに「頑張れ」と叫びたくなりましたが、一方で、「もう十分頑張ったので、少し楽をしてほしい」という思いにもなりました。

最後に日常の些細なことなのですが、このご一家もコーヒーは、インスタントではなく、いつもドリップしたコーヒーを日々楽しんでおられましたね。私も母も、私の娘達も同じです。何かほっとしたい時に、ドリップコーヒーをたてている間や、飲む時は笑顔になっていますね。長生きの要素なのでしょうかね。

ともあれ、介護真っただ中の私さえ、こんな映像があることを知らなかったのですから、ひょっとして、多くの介護している方や、これから介護が心配という方で、まだ知らないという方も多いと思います。

私には何ら宣伝の義務?はありませんが、U-nextで、2作目のみ課金で399円。見て置いて損はないと思いますね。