Royue

80キロ離れた独居の母の介護を中心に起こったこと、その後の施設入所後のことを書いています。

介護83:「施設長たいへんです。すぐきてください!」・・経営目線で運営の大変さがわかる!

2023年11月30日、図書館で借りたこの本、私の母の家のある市から近い柏原市で、特養、グループホーム、ケアハウス(軽費老人ホーム)の経営者である柴谷匡哉さんが書かれた本です。昨年2022年9月の発行です。

認知症の方のお世話を28年やってこられて、施設の中でどんなことが起こっているのかを経営者目線で書かれています。私は、今までも同じような高齢者施設のことを書いた本を何冊か読みましたが、この本は一味違う「経営者目線」なので、「なるほどなあ」と思えることがたくさんありました。☆☆☆☆☆ですね。

認知症でも、アルツハイマー型、レピー小体型認知症、前頭側頭型認知症の方の具体的な個別の症例が書かれています。

また、施設側のそれぞれの症例に対する対処法が丁寧に書かれています。原則的に、言われているのは、認知症の人の言うことを「否定しない」ということでしょうか。職員の合言葉で、「みほこさん」ってある由ですが、「める、める、定する、同する」の頭文字をとったものです。わかりやすいですね。業界では常識なのでしょうか。私にはできませんでしたが、これからはやってみたいですね。遅いですが。

そうそう、私の家族にも言いたいですね。私に対してもこれでと・・。

著者の経営する施設は「6階建て」(認知症の方が火災報知器を押すことで、6階全館に響き渡るという記載あり)と大きな施設ですね。その中に特養があるのですが、夜勤の場合に「60名の入所者に対して、介護職員2名で対応」するとありました。個人的には、そんな少ない人数なんだと思いましたね。まあ、それが現実なんでしょうね。

いくつかの小話の中で、なるほどと思ったことのひとつに、介護施設では、便器にオムツや吸水バッドを流してしまうことがよくあるらしいのですね。その時に、いちいち業者を呼ぶのではなく、時間勝負、すなわち吸水パッドはすぐに数倍に膨らんで、下水配管から取り出せなくなるとのことで、すぐに職員が対処するとのことでした。そりゃそうですよね。また、エレベーターの暗唱番号を破る入所者対策とか、問題に事欠かない!のがわかりました。

最後に、私自身に関係することで、「うっ」となったことがあります。この本の第一話が、2キロほど離れたスーパーに買い物に行っていたという88才の身体的には元気なおじいちゃんが、4キロ離れた高速道路を自転車で逆走していた例が書かれていました。まあ、当然なのでしょうが、体が「極めて」元気なことと、認知症は関係がないのですね。私も、もう10年近く自転車(ロードバイク)をやっていて、身体的には、まだ大丈夫なんですが、いくら体を鍛えてもダメなのが怖いですね。このおじいさんは、4キロ離れた場所での徘徊でしたが、私はソロロングライドをやってますので、もしその途中で認知症になったら、かなり遠くで発見されるか、行方不明!になるもしれませんね。なんの前兆もないのがちょっと怖いですね。そうなる前に、スマホのグーグルナビが見れなくなることで、わかるのかなあ?

(閑話)

著者は薬のことも極めて博識で科学的なので、赤ワインには、白ワインと違い、ぶどうの皮ごと醸造するので、ポリフェノールレスベラトロールが含まれるから、脳の老化防止に役立つとかあります。また、なぜか漢方薬が出てくるのですが、「桂枝加竜骨牡蛎湯(カイシカリュウコツポレイトウ」といい、独り暮らしの元校長先生の入所者が、性的逸脱行為(AVばかり見るようになったケース)で、この漢方薬で軽減するとあり、ちょっと気になりましたね。